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敷島の大和心を人問わ(は)ば 朝日ににおう (ふ) 山桜花(本居宣長)。日本は天皇を国家最高権威とし、民を「おほみたから」とする「シラス国」です。


美人画

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志村立美「木場」
木場


先日、静御前のお話をご紹介した際に、上村松園の静御前の絵を載せたのですが、今日のTOPは、同じく戦前から戦後にかけて一世を風靡した画家、志村立美の絵です。

世界中に美人は多数あるけれど、日本画家が描く日本人女性というのは、とりわけ美しいです。

冒頭の絵の志村立美は、戦前、岩田専太郎、小林秀恒などとともに「挿絵界の三羽烏」とうたわれた人で、戦時中は戦争画もたくさん残しておいでになります。

なかでも志村立美は、戦後、晩年に至ってから日本画の美人画を追求し続けていて、「木場」と題された上の絵など、とても美しい絵をたくさんのこしておいでです。

この絵の女性は、なんていうんだろう、ちょっと姉御風で、凛々しくて、理知的、艶やかで、芯も強そうで、それでいてしっかりとした道徳観をもっていそうで、けれど情が深くてこまやかで、なんだかもともとの日本人女性が持つ美しさを、まるごと表現しています。

背景は簡素に描かれていますが、木場の様子をちょっと見に来た木場の若衆頭の姐さんなのでしょうか。
ふとしたはずみにすこし振り返った瞬間が、実に品よく美しく描かれています。

絵には描かれていませんが、観ていると、あたりを包む材木の香り、青く澄み渡った空、手前にある木材の運河、そこで働く元気な職人さん達の姿といった背景までもがなんだか眼に浮かぶようです。

そこにちょいと佇む姐さんの、まるで匂い立つような艶っぽさ。
簡素であっさりとした絵柄なのに、そんな辺りの風景や香りまでをも表現してしまっています。
いや、実に美しい。


下の絵は、同じく立花立美の「初詣」で、こちらはちょっとお若い、振り袖姿の女性です。

初詣
初詣

場所は神社の入り口付近にある手水舎(ちょうずしゃ)なのでしょう。
女性は左手に柄杓を持ち、ちょっと伏し目に描かれています。

神社の手水舎の作法は、
(1)まず右手で柄杓を取って左手を洗い
(2)次に左手に持ち替えて、右手を洗い
(3)右手に持ち替えて左手に水を受けて口を漱ぎ
(4)再度、左手を洗って
(5)柄杓を立てて、柄に水を流したあとに
(6)柄杓を元の場所にふせて置く。
というものです。
ということは、この女性は、ちょうど右手を洗い終わり、洗った右手を袂でそっと拭いて、お口をゆすぐ、その直前の様子なのでしょう。
静止した絵なのに、そういった動きが、文化を背景とすることで、実に生き生きと動きのある絵として描かれています。
そしてそれが、同時に絵の女性の溌剌とした若さをも表現しています。

このように、絵から不要なものを一切排除しながら、絵の周囲の様子や背景、人物の動きなどを鑑賞する人にイメージさせることで伝えて絵に奥行きを与えるのが、日本画の特徴です。
絵にものすごく深みがあるんですね。

こうした手法は、和歌や短歌でも同じで、無駄なものを一切省きながら、花や季節、仕草などで、描いた内容だけでなく、色彩や風景など、背景にある様々なものを一緒に描き出す。
これが日本文学や日本画の特徴です。
単に見かけだけではない。

もうひとついうなら、西洋画では女性美を描くのに女性を裸にすることが多いけれど、日本画は、服を着た姿で描かれます。
これは西洋画が主に女性の外見や肉体の美しさを描くのに対し、日本画は人としての精神性の美しさを追求する、その姿勢の違いであるともいわれます。

しかも日本画というのは、掛け軸などのように、絵を巻いて収納するから、油絵のような「重ね描き」がありません。
いわばぶっつけ本番の下絵なしで、こうした美の世界が描かれる。
ゴッホやモネなど、絵を知る欧州の名画家が、こぞって日本画の美しさの虜になったのもうなづけるというものです。


ちなみに、この絵を描いた志村立美は、丹下左膳を有名にした人としても知られています。

丹下左膳といえば、大河内伝次郎の「シェイは丹下、名はシャゼン」の名台詞が有名ですが、最近では映画で
豊川悦司、テレビドラマで中村獅童がこれを演じています。

隻眼隻腕のこの剣豪は、実は空想上の剣士で、もともとは昭和2年に新聞小説として連載された林不忘の「大岡政談」の中に登場した人です。
この物語の中で丹下左膳は、名刀「関の孫六」をめぐって争う一端役として登場するのだけれど、これを志村立美が挿絵にしてたことで、隻眼隻腕着流し姿の、ちょっと恐ろしげな剣士のイメージが、当時大評判になったのです。

あまりの人気ぶりから、志村立美の絵のイメージそのままに丹下左膳が主役で映画化され、なんと以降、団徳麿、嵐寛寿郎、大河内伝次郎、月形龍之介、阪東妻三郎、水島道太郎、大友柳太朗など名だたる名優がこぞって主演、戦後には丹波哲郎や中村錦之助も、この丹下左膳を演じています。

最近ではトヨエツや中村獅童なども演じているけれど、そのイメージはもともとは志村立美が描き出したものです。
その丹下左膳の「絵」が、↓です。
丹下左膳

いやはや、たしかに絵になる姿です。

ちなみに丹下左膳が争った名刀「関の孫六」は、三島由紀夫が割腹自殺した際に用いた刀としても有名です。
その三島由紀夫に関孫六をプレゼントしたのが、渋谷で大手書店ビル「大盛堂」を経営していた舩坂弘さんで、舩坂さんは、パラオのアンガウル島の玉砕戦での生き残りの方です。

アンガウルとペリュリューでの舩坂さんの活躍は、後年映画「ランボー」の挿話としても描かれた実に壮絶なもので、いま渋谷の街が新宿、池袋と比べて健全性を保った街になっているのも、舩坂さんの影響が大であったといわれています。

【ご参考】
◇ランボーは日本人だった! 舩坂弘軍曹物語
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-708.html
◇アンガウルの戦いと人種差別
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-890.html

昨今の日本では、反日がいわば常態化し、日本のもつ素晴らしさや良さ、日本文化の持つ深みや精神性などが、忘れされれようとしているといわれます。

けれど、日本が培った日本文化は、実は世界中で絶賛されています。
バカにしているのは、その素晴らしさが理解できない、欲に駆られた特ア人だけです。

下にご紹介している動画は、上村松園です。
是非、ご覧いただきたいと思います。

戦時中でも、日本美を追求し続けた松園の絵は、日本人の日本的心を実に精緻に、細やかに語って聞かせてくれています。

こういう素晴らしい日本文化を、どうしていまの日本人は否定するのでしょうか。
どうして日本という国の素晴らしさを、進んで学ぼうとしないのでしょうか。

日本はとても美しい。

上村松園・美人画集
是非ご高覧ください。きっと感動します。


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コメント
No title
精神性豊かなこの様な絵を見せていただき、心が洗われる様な気持ちになりました。
こうゆう美人ががあったことさえ知りませんでした。
歌麿呂とかはよく見ましたが、小学校で英語なんぞ教えているがそんなことより、と言うかまーー国際社会だからしつようでしょうけど、
日本文化の真髄と想われるような教材で、子供たちに教えれば
今の子供でもきっと驚くでしょう。
日本を好きになり国を思う子供たちが、日本文化の素晴らしさ
に気づきよりよい日本を継承していくのではと思います。
教育再生し、歪んだ今の教育界を正しい方向へ導いて行きましょう。
日教組の中にもまともな先生もいると思いますが、左に巻きすぎて
いる人は早々引退を願います。
自国を思わないで他国のことなど思えるはずがありません。
自国を大切に考えるのは普通の考えではないでしょうか。
自国の正史を学びなおし日の丸、君が代、の素晴らしさに目覚めて
ください。自虐史観から脱却しましょう。
2013/01/14(月) 08:50 | URL | 虎さん #52438jAI[ 編集]
No title
連続投降お許しください。
「上村松園・美人画集」の映像、とても感動しました。
私はファッション関係(洋服・婦人服)の仕事をしています。
よく漢字は中国からとか陶器は朝鮮から、などと言いますが、日本文化の真髄は、他国の模倣と発展では説明のつかない、どの国の影響も受けていない独自性の中にあると思います。
映像を見て、それは特に日本人に美意識にあらわれていると思いました。
結構な映像を紹介していただき、ありがとうございます。
2012/05/03(木) 23:46 | URL | しと #-[ 編集]
No title
美人画と関係ないのですが、シェアしたいと思い書かせていただきます。
もし、ねずきちさんが「岩塚製菓」の話をご存知でしたらお許しください。
ねずきちさんの文体で書いていただけると嬉しいです。

117 :名無しさん@12周年[] 投稿日:2012/05/03(木) 14:30:43.47 ID:UrU21i6Y0
岩塚製菓の事を知ってる人はいるかな?

30年ほど前、経営危機に陥っていた台湾の宜蘭食品工業の董事長(社長)は、
起死回生のために岩塚製菓に技術供与を願い出た。
岩塚側は当然拒否。
しかし宜蘭側は礼を尽くして粘り強く要請したので岩塚側もこれを受け入れた。
結果、宜蘭は超V字回復。

話はここからだ。
宜蘭は技術もらってハイ終わりなんてことはしなかった。
台湾でもトップクラスの菓子メーカーとなった宜蘭は、中国本土への進出を図る。
その時、大恩人である岩塚に共同出資の話を持ってきた。
宜蘭の誠実な姿勢を評価していた岩塚は、積極的にこれを受け入れた。

宜蘭と岩塚が共同出資して中国本土進出のために作った企業は旺旺(ワンワン)という。
宜蘭の中国進出ノウハウと、岩塚の製菓技術をもった旺旺は、瞬く間に中国本土で急成長した。
今では旺旺グループとして中国本土で大きなシェアを握る巨大食品グループとなった。
旺旺が販売している菓子には今でも岩塚製菓の文字がある。

これだけの大成功を収めても、さすがは台湾人、恩は決して忘れない。
董事長は上海に旺旺本部ビルを新築した際、岩塚の槙社長と家族を招き、
居並ぶグループ幹部や取引先関係者に、岩塚が大恩人であることと、
30年前に技術供与を承諾してくれた当時の岩塚製菓社長、槙計作を「旺旺の父」として称えたのだった。
そして槙計作の銅像が除幕された。董事長は自分の銅像ではなく、恩人である槙計作の銅像を本部に据えたのである。
そこには、槙計作や岩塚製菓との友情の歴史を記した銘板もある。

以上のことは旺旺グループHPにも、英語・中国語・日本語で記してある。
http://www.want-want.net/jp/culture/show.asp?id=499&classid=12

それはそうと旺旺グループHPのこれwww
http://www.want-want.net/flash/nianjie.swf
2012/05/03(木) 21:59 | URL | しと #-[ 編集]
No title
毎日イラだつニュースばかりの昨今、少々滅入っていましたが、このような美しい絵、あったのですよね。
有り難うございます、久々に癒されました。
日本人だけが持つ感性、細やかで、慎ましく、愛情溢れるとでもいいましょうか、つまり心ですね。
このような感性を持つ日本人だからこそ描く事ができるのだと思います。
日本文化が持つ繊細かつ美しさというのは他に類をみないでしょう、それ故に世界中の人の賞賛、解ります。
また、絵を見た側の日本人、同じ感性を持ち合わせています、だからこそ絵の持つ真の美しさが解るのではと思います。

しかし今の時代、何を見るにしてもどれ程の人が心で見る目を持ってるかというのが一番の問題でしょうね。
それに物の価値観が変わってきています。
やはりこれも戦後教育の歪、いたる所に出ていますね。
これではいくら子供達に日本人としての誇りを持てと言っても解るはずありません。
民主を引きずり降ろし、日本に棲む獅子身中の虫を退治しなければ日本国は変わらないと思います。
一番簡単な、つまり国民が日本人が変われば国は救えると思うのですが、その一番簡単な事がどうしてこうも難しいのでしょう・・?




2012/05/03(木) 11:08 | URL | 桜子 #PyZMa2bE[ 編集]
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ねずさんのプロフィール

小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
連絡先: nezu3344@gmail.com
執筆活動を中心に、私塾である「倭塾」、「百人一首塾」を運営。
またインターネット上でブログ「ねずさんのひとりごと」を毎日配信。他に「ねずさんのメールマガジン」を発行している。
動画では、CGSで「ねずさんのふたりごと」や「Hirameki.TV」に出演して「奇跡の将軍樋口季一郎」、「古事記から読み解く経営の真髄」などを発表し、またDVDでは「ねずさんの目からウロコの日本の歴史」、「正しい歴史に学ぶすばらしい国日本」などが発売配布されている。
小名木善行事務所 所長
倭塾 塾長。

日本の心を伝える会代表
日本史検定講座講師&教務。
(著書)

『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』

『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!和と結いの心と対等意識』

『ねずさんの 昔も今もすごいぞ日本人!日本はなぜ戦ったのか』

『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』日本図書館協会推薦

『ねずさんと語る古事記 壱〜序文、創生の神々、伊耶那岐と伊耶那美』
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『ねずさんと語る古事記・弐〜天照大御神と須佐之男命、八俣遠呂智、大国主神』

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