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日本はシラス国です。ウシハクと一線を画す日本の姿学んでいます。


隣組(となりぐみ)

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20150910 彼岸花


「隣組(となりぐみ)」という歌謡曲があります。
戦争前の昭和15(1940)年、国民歌謡としてビクターレコードから発売された曲で、この曲は替え歌でフジテレビの「ドリフの大爆笑」のオープニングにも使われました。

歌詞を読んだだけでもほのぼのとした明るい気持ちになれます。
なぜそんな気持ちになるのでしょうか。
助け合い、支えあいができる社会が、それだけ良いものだということを、私達が本能でわかっているからなのではないでしょうか。

****
「隣組」
岡本一平作詞、飯田信夫作曲

1 とんとんとんからりと隣組
  格子を開ければ顔なじみ
  廻して頂戴回覧板
  知らせられたり知らせたり

2 とんとんとんからりと隣組
  あれこれ面倒味噌醤油
  ご飯の炊き方垣根越し
  教えられたり教えたり

3 とんとんとんからりと隣組
  地震や雷火事どろぼう
  互いに役立つ用心棒
  助けられたり助けたり

4 とんとんとんからりと隣組
  何軒あろうと一所帯
  こころは一つの屋根の月
  まとめられたり、まとめたり


小名木善行の「百人一首」第27番歌 中納言兼輔
みかの原わきて流るるいづみ川いつ見きとてか恋しかるらむ



「隣組制度」というのは、この曲が発売された年と同じ年の9月に内務省が訓令した「部落会町内会等整備要領」(通称=隣組強化法)に基いて制度化されたものとされますが、ただ実際には、これは大昔からの日本にあった古くからの伝統を、そのまま制度化したものです。

万一の災害発生時に頼りになるのは、まさに「遠くの親戚よりも近くの他人」で、平素はただ隣に住んでいるというだけで、全然関わりがなかったとしても、いざというときには、地域のみんなで支えあい助け合っていかなければならないというのは、大水や地震、津波、土砂災害などの自然災害と常に向き合ってきた日本人社会の古くからの知恵ということができます。

それと隣組というと、すぐに先の大戦下での思想統制や住民同士の国民相互監視などの好ましくないものと連想する人が多いようですが、こうした隣組制度が、悪い人を出さないための相互監視の役割を担っていたのは事実ですし、私はそれは「とても良いこと」であると思います。

相互監視というと、なにやら恐ろしげに思われるかもしれませんが、悪いことをしないなら、全然問題ありません。
けれど悪いことをする者にとっては、これほど不愉快なものはありません。
なぜなら、悪いことがしにくいからです。
しかし、悪いことというのは、起きてからでは遅いのです。
だったら、日頃から悪いことができないように、相互監視をしていく。

相互監視はあるけれど、犯罪のない社会と、
相互監視がなくて、犯罪が多発する社会と、
果たしてどちらが住み良い社会といえるのでしょうか。


さて、ここからは付録です。
わが家は、お隣さんがご高齢の老人の一人暮らしで、お向いさんは旦那のいない婦女世帯ですが、大雪が降れば、その雪かきは、私の仕事です。
別段頼まれたわけではないけれど、お年寄りや婦女よりは、すくなくとも私の方が力持ちだからです。
あたりまえのことです。

細長い火山列島である日本は、火山の爆発や、急斜面による土砂災害、平野部なら大水、大雨、大雪、地震、竜巻、台風、大風、落雷、あるいは大規模な自然災害があれば、それによってもたらされる停電、断水といった非常事態は、いつでも起きる可能性はあるわけです。
現実に被害が起きれば、隣近所でたすけあっていくしかない。

平時は良いのです。
普段のときは、昼間は仕事にでかけるし、別段家にいるわけでもないという人も多いかと思います。
問題は非常時です。
その非常時に、日頃から、つまり普段から備えておく。
そのための地域コミュニティの最小単位を、制度化したものが隣組です。

東京中が、空襲で焼け野原になったとき、多くの方が亡くなりましたが、それでもあの空襲の中を、生残った人はもっとたくさんいました。
なぜ生残れたのかといえば、隣近所のおじさんたちが、そこかしこに防空壕を掘ってくれたからです。
近所のおばさんたちが、みんなで手分けして、防空頭巾を子供たちに作ってくれたからです。
そして、万一の場合に備えて、カメに容れて土に埋めたり、丈夫な釜に保存しておいてくれた非常用食料を、隣組みんなのために、互いに供出しあったからです。
そうやって、相互に助け合う習慣があったからこそ、亡くなった方の10倍以上の老若男女が生残ることができたのです。

そもそも隣組というのは法制度化されたのは昭和15年ではあるけれど、もともとをたどっていけば、記録で確認できるものとしては、1世紀の日本にはすでに確立されていたものです。自然災害の多い日本では、2千年以上の歴史があるのです。詳しくは→コチラ

そもそも縄文の昔には、隣近所の村落共同体しかありません。世界中どこもそうです。
それがクニになり、国家へと発展していくのですが、その過程で、西洋や大陸では、力の強い者が王となり、村落共同体を破壊して、それらを傘下におさめて私有化していったというのは、誰でも知っていることです。

ところが日本では、そうした村落共同体をまるごと活かして倭国が成立しています。
どういうことかというと、日本では、村落共同体を滅ぼして私有化して、豪族たちが贅沢するために国が出来たのではなく、村落共同体が、互いに力を合わせて、つまり村落共同体内の協力関係を、そのまま地域社会の共同体としての協力関係に拡大することによって、大規模な水田の開墾や、治水事業が行われ、そのためのリーダーが、古代における豪族となったし、王となりました。

そしてこれとまったく同じことが、中世の日本では、新田の開墾事業を推進したリーダーが、新興武士団となり、そこから武士が登場するという歴史が生まれています。
つまり国の成り立ちが、日本では、大陸にあったような、はじめから収奪や支配を目的とするものではなく、相互協力関係をスタートラインとして、発展し発達し、それが国家となっているのです。

ですから、世界中どこでも、国家の形成過程においては、必ず殺戮や戦争が行われているけれど、日本ではそれが起きていません。なぜなら日本は、縄文時代という、約1万5000年続いた長い時代に、武器そのものを所持しない、人が人を殺さない文化が、完全に定着していたからです。

古代大和朝廷の成立も、ですから大和朝廷は、全国にあった地域共同体を、そのまま活かして、単にその上にのっかるというカタチをとりました。
だからこそ、そこに「シラス」という概念が生まれています。
「ウシハク」なら、抵抗する者は滅ぼすのですから、地域共同体に対しては破壊しかありません。

けれど、そんなことをしたら、災害発生時の対応がまったくできなくなってしまうのです。
中には、大陸風の「ウシハク」統治によって、村落共同体を破壊して、すべてを支配しようとした豪族もいたかもしれませんが、結局そういう豪族は、災害発生時には、その富の源泉を失い、結果、滅ぶしかなかったというのが、日本の歴史です。
領主は、どこまでも民のため、村落共同体を守り育てるというカタチでしか、日本では成り立ち得なかったのです。

そしてこの村落共同体は、江戸時代には、完全に日本の民間生活の中に定着していました。
農村部では、庄屋さんが苗代を持っていて、近所の農家に苗を配っていたし、江戸や大坂のような大都市にあっては、五人組や、長屋制度によって、5〜10世帯単位の共同体が、井戸の共同利用などを通じて、完全に確立していました。
結婚式も葬式も、災害発生時の訓練や相互扶助も、こうした緻密なコミュニティが発達していてくれたおかげで、みんなで助け合い、みんなで支えあい、みんなで協力しあって生きていくということが、完全に完璧に定着していたわけです。

そしてこうしてすでに確立していた共同体を、戦時非常体制のために、法制度上も整備したというのが、昭和15年の隣組制度でした。
そして隣組は、なるほどGHQによって解散させられてしまったけれど、結果として、いまでも、町内会や自治会、マンションの管理組合、消防団などと名前を変えて、何の法的裏付けがなくても、全国にしっかりと残っています。
それらが「完全に」崩壊しているのは、在日外国人世帯が多くなって、そうしたことの大切さがまったく理解されなくなっているごく限られた一部エリアと、おかしな新興宗教団体に毒された人々の多い、それこそ特殊な地域だけです。

たた、問題は、そうした隣組のような小さな単位の地域コミュニティの、万一の場合の必要性が、まったく世間に知らされず、いわば、昔を知り、災害発生時の経験を持つお年寄りたちだけの誠意と問題意識だけに支えられているといういまの現実です。

古いもの、古代や中世から続いているものを、わたしたちは戦後の一時期のブームのように、ただ否定するのではなく、もういちど、国土と自然と、人々の福祉のために、みんなが安心して安全に暮らせる日本の将来のために、もう一度考え直してみるときにきているのではないでしょうか。

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コメント
No title
昔は隣組の意識が強く、近所の行き来も当然頻繁で、戦後のベビーブームのために子供も沢山いましたから、子供は年齢を超えて仲良く遊んでいたものです。近所の方から怒られたり可愛がられたりでした。

時代が変わって子供は毎年減少しました。この頃の子供は、年齢を超えて遊んでいるのでしょうか? その前に遊ぶ場所に苦労していると思います。50年も前なら、空き地はすべて遊び場所との感覚があったのですが、今は公園が増えても制限が多いから、遊ぶのも大変だと思います。

隣組も変わったと思います。
昔は町内会があり、その中に隣組があってそれぞれの世帯があったのです。
しかし今は、町内会にも隣組にも属していない世帯が、沢山あります。
これは、学生だから町内組織に属さないと言うこととは異なり、例えば新しいマンションができたら、そこに入居している世帯がそのまま町内会や隣組に入らない、と言うことだってあると言うことです。

昔なら、不幸があった場合に手伝いはどうするのと言うこともあったのでしょうけど、最近は葬儀会館で適当に進めてくれますから、これも支障がなくなっています。

現在は、隣は何をする人ぞ、と言う時代だと思います。
2015/09/10(木) 23:18 | URL | ポッポ #-[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2015/09/10(木) 22:11 | | #[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2015/09/10(木) 15:24 | | #[ 編集]
No title
今日もありがとうございます。

しばらく前に、地区の防災訓練がありました。
毎年、役員さんを中心に行われます。そこでは、大きなかまどで湯を沸かし、厚いビニールに入ったアルファ米にその湯を入れ、炊き出しのご飯を作ったり、乾パンを美味しく食べる工夫をしたグループが、
ヒジキいりハンバーグを作ったり、楽しそうに活動していました。
消火訓練、煙体験、消火栓で放水訓練(雨のため説明のみ)もありますが、家族連れも多く、防災意識の高まりを感じました。

日頃から、顔見知りになっておくのは、いいと思います。

隣組が相互監視で、人権侵害だという風潮は、心にやましい考えをいだく人にとって住みやすいように刷り込まれたのかも。
2015/09/10(木) 14:02 | URL | えっちゃん #-[ 編集]
No title
今日も良い記事をありがとうございます。私も含めて隣組のイメージが変わった方は多いのではないでしょうか?敗戦のどさくさに紛れて何でもかんでも否定していた人が見たら発狂するかもしれませんw。まぁ・・発狂するのは赤いチームの人だから放っておきましょう。

こういった事が可能な日本という国に生まれて良かったと思います。後世に残すためにも教育はとても大事だと改めて思いますし、日教組のような組織を早く追い出さないといけないとも思います。

敬具。
2015/09/10(木) 12:47 | URL | たまにはコメントしてみます。 #-[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2015/09/10(木) 10:06 | | #[ 編集]
性弱説
ときたま「巨額横領事件」が起きますが、あれは大抵企業や役所の出納係が一人で資金を出し入れ出来てしまう環境があって発生するものです。

それに対する対策として、相互牽制やダブルチェックがあります。組織としての重要なアクションは複数の要員が関与しないとできないとする原則です。

京セラ創業者の稲盛氏の著書には、こうした措置は悪い人を牽制するだけではなく、(心の)弱い人を犯罪者にしないためのものだとあります。

弱い人というのは特別な人ではありません。大抵の人は誘惑に弱く、うっかりや出来心を起こして不思議がないものです。
2015/09/10(木) 09:14 | URL | 7C #-[ 編集]
光と影
今までのイメージで隣組という制度は、共産主義の密告制度と同じようなものと思っていました。個人主義も問題ですが、全体主義も「赤信号みんなで渡れば怖くない」のように全体の空気によって左右されるので危険な気もします。他人に迷惑をかけない事は大切ですが、王様は裸だと言う勇気も必要だと思います。あくまでも内なる神とつながることが最終目的なので常に自分の心にはウソは付きたくないです。
2015/09/10(木) 08:54 | URL | hiyo #Ldyc1/3I[ 編集]
No title
いつもためになるお話ありがとうございます。
日本は昔からシラス国で、そこに豪族ができた..とありましたが、それでは天孫降臨で「汝がウシハク国」と言ったのはいつ頃の時代なのでしょうか。
縄文時代より前なのでしょうか。
まだ学校の教育と最近学んでいる話がつながらず困惑しております。
そのあたりの解説もできましたらお願いいたします。
2015/09/10(木) 07:44 | URL | じょあ #-[ 編集]
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小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
静岡県出身。国史啓蒙家。倭塾塾長。日本の心をつたえる会代表。日本史検定講座講師&教務。
連絡先: nezu3344@gmail.com
著書
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』第1巻〜第3巻
『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』
日々、先人たちへの感謝の心でブログを書き綴っています。それが自分にできる唯一のお国への、先人たちへの、そしていま自分が生かさせていただいていることへのご恩返しと思うからです。こうしてねずブロを続けることで、自分自身、日々勉強させていただいています。ありがたいことです。

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