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日本は「たみ」が「おほみたから」とされる天皇のシラス(知らす、Shirasu)国です。


対立よりも和

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20160304 渓流


 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
 われても末に 逢はむとぞ思ふ


小倉百人一首の77番にある崇徳院の歌です。
一般には、別れても好きな人、フラレたけれどまた逢いたい人を詠んだ歌など、恋歌として紹介されている歌ですけれど、実は全然違います。

なぜなら崇徳院は、わざわざ「瀬をはやみ」「滝川」といった激しい表現を用いているからです。
恋する人にまた逢いたいという思慕の歌なら、どうしてそんなに激しい言葉を使わなければならないのでしょうか。

崇徳院は、藤原忠通の謀略にあい、讃岐に流された人です。
これが保元の乱(1156年)で、崇徳院となる前は、崇徳天皇です。
その、元天皇が、なんと武力によって拿捕され、流罪となってしまったのです。
天皇ないし元天皇が流されるというのは、当時にあっても、あるいは現代に至るまで、ありえない驚天動地の出来事です。
そして崇徳院が流されたときの天皇は、弟の後白河天皇でした。



本には、保元の乱は後白河天皇によって崇徳院が讃岐に流されたとしているものと書かれています。
けれど我が国における天皇は、政治権力を揮わない権威としての存在です。
ですから後白河天皇が、天皇の地位にあって崇徳院を拿捕し流罪したという解釈は間違っています。

そうではなく、これを仕掛けたのは、当時摂政関白太政大臣だった藤原忠通です。
藤原忠通は、摂関家としての藤原家の安泰のために、政治的に邪魔になる崇徳院に、実際にはまったくの無実である謀反の疑いをかけて逮捕し、流罪にしてしまったのです。

結果として崇徳院は、実弟の後白河天皇とも別れることになり、また、政治権力を握る藤原忠通とも、本人の意思に反して、政治的敵対者とされてしまいました。

そして冒頭の歌を読めば、何か大きな対立 戦までは至らなくても、それに近いほど意見が食い違う相手と、今は互いに別の道を歩むことになるけれど、いつか再び出会い、今度は同じ道を歩んでいきたいという、崇徳院のお気持ちが、素直に伝わる歌となっています。
今は無理かもしれないが、いつか・・それは遠い未来かもしれないし、もしかすると来世かもしれないけれど、また出会い、今度は対立などしないで仲良く暮らしたいものだと、崇徳院は詠んでいるのです。

藤原定家は、崇徳院の代表作としてこの歌を選び、藤原忠通の歌の次に配列しました。
聖徳太子の「十七条憲法」第一条には、有名な「和を以(も)って貴(たっと)しと為(な)し、忤(さか)ふること無きを宗(むね)と為(な)せ」という言葉があります。
ここにある「忤」という字は、語源が「呪いのための道具の杵」からきています。
つまり、「たとえ相手が呪詛しようとも、こちらも同じように呪詛することは愚かである。そのようなことはしないようにしなさい」という教えです。

どんなに辛くて悲しいことや腹立たしいことがあったとしても「和を以て貴しと為し」なのです。
それは、相手を許すことでもあります。
「今は無理でも、いつか再会したい」という願いがあればこそ、崇徳院はこの歌を何度も推敲したのです。
「瀬をはやみ」「滝川」といった強い言葉を選んだのも、政争の濁流に押し流された二人の運命を象徴するにふさわしかったからでしょう。

崇徳院は讃岐国に流されたあと、仏教に深く傾倒して極楽往生を願い、五部大乗経(法華経、華厳経、涅槃経、大集経、大品般若経)の写本作りに専念しました。
そして保元の乱で亡くなった戦死者の供養を最後まで続けられたのです。
そんな功徳を積んだ崇徳院を人々は四国の守り神として祀るようになります。

そして崇徳院が崩御してから七百年後の慶応四年(1868年)、明治天皇はご自身の即位の礼に先立ち勅使を讃岐に遣わして崇徳院の御霊を京都へ帰還させました。
こうして創建されたのが京都市上京区堀川東入ルにある白峰神社です。

「岩にせかるる滝川」は崇徳院が亡くなってから七百年後、再びひとつの川になりました。
私たちの国の歴史はつながっているのです。
そしてこの歌を思うとき、昨今の日本を取り戻そうとする保守同士での、骨肉の争いがあることを、たいへん悲しく思います。

最近、いろいろな方から、「なんだか最近、いままでの日常なら考えられないような、良い人間関係や人脈が急激に開けてきました」というお話をよく聞きます。
おそらく、いまこれをお読みの皆様にも、そのような実感をお持ちの方も多いのではないかと思います。

私はそこに、なんだか「神々の御意思」を感じるのです。
いま日本は、急速に目覚めつつあります。
さまざまな現象が、次々と起きています。
そして、ほんの1〜2年前なら考えられなかったような、変化が、いま起きています。
日本は、日本の持つ本来の姿を、急速に取り戻しつつあります。

日本国内にある最大の問題は、右翼と左翼の対立ではありません。
そもそも国旗や国歌、そして国家を大切にしようとするのは、万国共通の、これは「常識」です。
日本では、国旗や国歌、そして国家を大切にしようとする人達が右翼、そうでない人達が左翼とされますが、これは実はとんでもない言いがかりです。
国旗や国歌、そして国家を大切にすることが「常識」であって、そうでない人達は世界ではテロリスト、犯罪集団として認識されるのです。

あるいはタカ派とハト派の対立というのも大嘘です。
戦争礼賛者など、この世の異常者です。
タカ派と呼ばれていた政治家も民間活動家も、誰一人戦争をしたい人などいません。
そうではなく、これは不当な暴力からちゃんと身を守る算段をつけようとする人達(タカ派)と、不当な暴力を歓迎しようとする人達(ハト派)の対立です。
世界の常識では、そういう人達を「ハト派」とは呼びません。
ただの「卑怯者」です。

他にも、保守派対右翼とか、親米派と反米派とか、とにかく戦後の言論界をみると、これでもかというくらい、何もかも対立に満ちているかのようです。
昨日も書きましたが、日本文化の根幹は「共感、独創、対等」です。
「対立、模倣、支配」は、ウシハク文化であり、ウシハクしたい人の取る行動原理です。
要するに「対立」をあおるのは、まっとうな考え方をする人達を、ケムに巻きたいウシハク人ということです。

藤原忠通が承久の乱を仕掛けた理由は、単に権力者としての自己の保身でした。
いま、反日活動をしている人達も、その根っこをたどせば、一国の保身であったり、敗戦利得者としての自己保身です。
そして保守の中にあっても、やみくもに敵対を煽るのは、意外と自分の自己保身であったりしているかのようです。

けれど、日本の心は、やはり「和を以って貴しと為し、忤ふること無きを宗と為せ」です。
恨んだり対立したりすること自体が、日本の心に反している。
そしていま、日本のみならず世界中の民衆が望んでいるのが、(これは今も昔もですが)まさに対立のない和と平穏です。

冒頭の崇徳院は、自分が遠島にされ、身近なものが殺害されるというお悲しみがあっても、なお、激流が岩にぶつかって二つに割れても、それでもなお、いつかはまた一緒になろう。ひとつになろう」とお歌いになられました。
そして讃岐の国にあって、乱でお亡くなりになった人たちの供養を、最期の日までお続けになられました。

日本人ほど平和を愛する民族はありません。
日本人ほど、戦えばこれほど強い民族はありません。
なぜなら日本人は、
 どこまでも愛。
 どこまでも和。
だからこそ日本人は強いのです。

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コメント
思いを忘れない国である事。
 崇徳上皇の歌は、非常に有名なものです。自分でも覚えがあるくらいです。
 しかし、その遠い昔の(歌に込められた)想いに、真摯に応える政府が、古今にどれだけあったでしょうか?
(寡聞にして、自分には古代ローマくらいしか思い付きません。
 先ずもって、それだけの長い間存続する国がありません)

 明治天皇陛下は、人の思いに応える国の有り様を、国民に広く見せる事に成功したのです。
 そして、それが単なるパフォーマンスで無い事は、その後の歴史が証明しています。
 御神輿としての存在がクローズアップされる御方ではありますが、指導者としても日本史上屈指であると自分は思います。
 私見を述べるなら、歴代天皇の中でも二番目の名君だと考えます。(ちなみに最大の名君は昭和天皇陛下であると考えています。
 外国の軍政指揮官・マッカーサー元帥と手を組んでの業績は、後世に世界中の歴史教科書が詳述することになると確信しています。この世界史上屈指の名コンビ無くしては米国の冷戦勝利は無く、現代世界は全く違った姿をしていた事でしょう)
2016/03/14(月) 19:20 | URL | 「ど」の字 #/rKlrZ.I[ 編集]
一方では国家間、民族間の摩擦対立を煽って煽っていながら和と言う。

煽られた一部の人達は民族間で膜セにつぐ膜セで対立。
憎みあざける醜い心、むやみな対立が日本にどんな影響をもたらすことか。

対立が根にあり摩擦対立に加担しながら和を言う独善排他な精神、人々がその国、民族にどんな影響となるのか。

2016/03/06(日) 08:01 | URL | 大和魂 #-[ 編集]
No title
こんにちは。二元論は卓上の一理論にすぎず、対立を仮定するのです。
二元論は、一神教が信徒をコントロールするための道具として使われてきま
した。例えば、光か闇か?善か悪か?これがマルかバツかの方式で学校教育
にも戦後に入れられたわけです。マルでなければ正解でな~い・・というの
を反復教育してきたわけです。愚民政策の一環でしょうね。サンカクも認め
ましょ~よ。二重丸もねww
光だって、明け方は深~い藍色から紫へ桃色へそして一瞬の緑っぽい色の後
に黄金色や橙色へ・・そして空色へ青色へ・・と空の色は変化していきます
よ。光か闇か?も~っと沢山の色彩があるではないですかww善か悪か?時
代が変われば評価は変わるではないですか・・善意の悪行・・つまり小さな
親切、大きなお世話。あるいは甘やかして甘やかしてダメにするスポイル教
育。・・物事は善悪のみでは語れません。二元論によるマインドコントロー
ルは、ひとたび対象が悪とレッテル貼りされると、残虐行為も厭いません。
植民地主義がその例でしょう。キリスト教者に非ずんば人に非ず・・とかね。
チャイナの文革における中共に非ずんば生存は認めない・・とかね。コレは
カンボジアでもポルポトによる大惨事を引き起こしてますね。ベトナムでも
旧ソでも・・これらは共産党信仰みたいなね。
実際は、物事には裏も表もあって、本音も建前もあって、しかもそれが刻々
と変化し続けるという状況もあって、そんな中で判断しなければならないわ
けですね。だから面白い。観察力と胆力が必要ですか・・・ww
ですから、ミギでもヒダリでもない日本の心が大事なのでしょう?w
右手も左手も必要で、両手を使いつつ、進むのは前方でしょうw
また、日本という国は戦争状態が起きる度に、古いものを保守しつつ脱皮し
て新しい衣をまとって大きくなってきた国でありましょう。





2016/03/04(金) 23:07 | URL | くすのきのこ #-[ 編集]
No title
歴代天皇の御陵。明治に至るまで、崇徳帝と安徳帝だけが、機内から外れておりますね。
保元には時代の激しさを、壇ノ浦には栄華の儚さを感じます。
2016/03/04(金) 22:00 | URL | one #-[ 編集]
No title
桐一葉様の意見に同意です。

見ても解らない、聞いても解らない、区別と差別も解らない輩に何言っても馬の耳に念仏。
正論言えば逆切れ。
「和をもって尊し」を理解できていれば一葉様の言われるように、ここまでこじれていません。

「成らぬ堪忍するが堪忍」という諺がありますが、ここまで日本を貶められて、それでも堪忍しないといけないのですかね?
堪忍袋にも限度というものがあります。
堪忍袋の緒も切れる寸前です。
また、「兎も七日なぶれば噛みつく」という言葉がありますが、日本人は兎以下?情けない限りです。

誰も喧嘩しろと言ってるのではありません。
嘘を正し、訳の解らない者には正論を言い続けるだけです。
嘘も百回言えば本当になると言うではありませんか、これに対抗するには正論を言い続けるしかありません。

論は論を持ってです。

2016/03/04(金) 20:53 | URL | #-[ 編集]
うましかの耳に念仏は限界。
せをはやみ、が出てきてびっくり。
百人一首の中で私が1番心にしみる句です。もっともそんな深いところまで読みませんが。

でもね、和をもって尊しがきちんとわかるようなら争いなんてないです。

正論を言えばヘイトスピーチと言われ、黙っていれば国旗を焼かれ震災お祝いしますなんて言われる輩に、そんな高度な説は通用しません。

日本がどんなに素晴らしい成り立ちによってここまで来たか人々が気づき始めた今、桃太郎が発動しても良いのではないですか?ヤマタノオロチ退治があっても良いのではないですか?
そんな重要な時に来ていると思っています。

確かに何となく自分の感が鍛えられており身の回りも変わったなと感じる昨今ではあります。時代をよく見る目を一層見開いて行きたいと思います。
2016/03/04(金) 19:09 | URL | 桐一葉 #a8N0vP3U[ 編集]
No title
恋の歌だと思っていましたが
藤原忠通のすぐ後に崇徳院の歌があると聞いて
ねずさんの説に説得力を感じました。

76 藤原忠通
わたの原 漕ぎ出でて見れば 久かたの
 雲ゐにまがふ 沖つ白波

77 崇徳院
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
 われても末に 逢はむとぞ思ふ
2016/03/04(金) 14:37 | URL | #-[ 編集]
更新ありがとうございます。
聖徳太子のいわれている和というのは、
なんでも馴れ合いに妥協しろという事では
勿論なく、中心に帰一しなさいという事ではないかと想います。真空であられる神聖な天皇に帰ーし、己が一人一人は自らの知仁勇を備えた本心(霊性)に帰ーし自らの務めを果たす事に尽きるのでないか想います。

2016/03/04(金) 11:19 | URL | #-[ 編集]
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小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
静岡県出身。国史啓蒙家。倭塾塾長。日本の心をつたえる会代表。日本史検定講座講師&教務。
連絡先: nezu3344@gmail.com
著書
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』第1巻〜第3巻
『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』
日々、先人たちへの感謝の心でブログを書き綴っています。それが自分にできる唯一のお国への、先人たちへの、そしていま自分が生かさせていただいていることへのご恩返しと思うからです。こうしてねずブロを続けることで、自分自身、日々勉強させていただいています。ありがたいことです。

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