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敷嶌のやまと心の道とへば朝日にてらす山桜花(本居宣長)。日本は天皇を国家最高権威とし、民を「おほみたから」とする「シラス国」です。


シミュレーション理論と古事記

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20170506 古事記
(画像はクリックすると、お借りした当該画像の元ページに飛ぶようにしています)


この世は、仮想現実(ヴァーチャル・リアリティ)であるという説があります。
「そんなバカな」と思われるかもしれませんが、おおまじめな議論であり、理論です。
これをゲームや映画などの世界と区別するために、「シミュレーション理論」といいます。
この世は、何者かによってシミュレートされた模擬システムによって成り立っているのだ、というのです。

このような理論が近年になって何故注目され始めたかというと、極ミクロの世界の量子力学と、極マクロ世界である宇宙物理学の理論的矛盾が、シミュレーション理論を用いると合理的に統合できるからなのだそうです。
まるでご都合主義のような摩訶不思議な動きをする量子、秒速30万キロという光速で移動する物体の中では時間が止まり、何十億年もの時間が、一瞬で経過してしまうということや、ブラックホールの存在など、様々な論が、不思議なことにすべてを仮想現実であるシステム化された内部で起きている仮想現実と捉えると、すべてが説明がついてしまうのだそうです。

この理論は間違っているとする学者も大勢います。
ですから「理論」ではなく「仮説」にすぎないとも言われています。
けれど、間違っているとしている学者さんたちも、ではどこが間違っているのかという指摘はできずにいるようです。

シミュレーション理論では、人類が生活しているこの世界は、すべてシミュレーテッドリアリティであるとします。
つまりこの世は映画の「マトリックス」にあったようなバーチャル・リアリティの世界であって、ある種のプログラムされた現実の中を、私たちは生きているのだというのです。
いってみれば、私達が住む世界は、いわば大人数参加型のロールプレイング・ゲーム(巨大MMO)の世界なのだというわけです。

そのゲームの中で、プレイヤーである私たちは、ゲームで規定された法則やルールの範囲内で、自由にコミュニケートし、また遊び、暮らしをします。
そのゲームを行うにあたって、どのようなキャラクターを自分にするかは、ゲーマー側の判断です。
そしてゲーマーは、自分のいる世界を、キャラクターの目を通じて、すべて見ることができますが、ゲームの中のキャラクター達からは、プレイをしているゲーマーの姿は決して見えません。

ところが、こうした「この世はシミュレートされた仮想現実だ」という理論が、実は古事記に書かれた世界と、たいへんによく似ているのです。


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古事記に描かれた世界観というのは、神々の世界を「まるで人間界のような」仮想現実の世界として描いているというものです。
実際には、おそらく神々は、私達が住む三次元世界の住人ではありませんが、それを姿形のあるまるで三次元世界の住人であるかのごとく描写しているわけです。
このことは、裏返しにみれば、神々の世界から見た私達の世界は、いわばヴァーチャル・リアリティの世界であるということになります。

つまり、古事記が描いている私たち生きている人間の世界というのは、神々によって造られた仮想現実の世界でしかないということです。
私たちは、御魂が本体であって、肉体を含むこの世は、三次元に固定された豊葦原の中つ国です。
御魂の世界からは、この世が丸見えです。
ところがこの世から御魂の世界は、見えません。
見えないけれど、そちらが現実であって、私達がいる世界は、仮の姿であるというのが、古事記の立場です。

それはあたからも、コンピューター・ゲームの世界と同じです。
ゲームの世界の住人たちにゲーマーの姿は見えませんが、ゲーマーこそが本体であって、コンピューターの電源を切ったら、ただの真っ黒な箱ですが、だからといって、ゲーマーが死ぬわけではありません。

もっとも、現代のゲームの世界では、ゲームのキャラクターは、最初からイカした男女であったりしますが、この世というプログラム世界では、あらゆる生き物は、プログラム化された遺伝子の働きによって、自己増殖ができるようになっています。
その自己増殖した胎児が生まれてくるところから、御魂と呼ばれるあちらの世のプレイヤーが、人生というゲームを始めるわけです。
そのための空間が「中つ国」です。

御魂の状態にあると、御魂は肉体という重みを持たない分、なんでも自由自在に行うことができます。
けれど、なんでも自在に行うことができるということは、まったく鍛えられることがないということでもあります。
そこで、中つ国という三次元空間に降り立って、そこで肉体を持ち、様々な制約の中で人生を過ごして御魂を鍛えていく、それがこの世であるというわけです。

ちなみに先般亡くなったウチの義理の弟は、大のランボーファンでしたが、偶々出てきたとき、まさにそのジョン・ランボーそっくりの装束をしていました。
要するにやりたいことがなんでも出来てしまうのが、あちらの世であるわけです。

人間も、自分を鍛えるためにスポーツをしますが、スポーツには様々なルールや制約があります。
そしてたとえばバレーボールをする人であれば、いかにして上手に相手のボールを受け、相手コートに打ち返すかを訓練します。
誰もがはじめは下手です。
けれど苦労して猛烈に練習することで、だんだんに上手になっていきます。
はじめから才能に恵まれた人もいます。
才能に恵まれず、だから人一倍努力して、全国大会に出場するような選手になっていく人もいます。
ゲームは決してうまくないけれど、相手チームの分析力に優れ、マネージャーなどになる人もいたりします。

その様々なゲーマーのパターンに、自分自身がなることで、自らを成長させていこうというのが、実は、この世とあの世の関係というのが、古事記の理解であり、また縄文時代から続く日本人の死生観です。

このことは、もっというなら、この世というのは、あらかじめプログラムされたバーチャル世界であって、そのバーチャル世界に、人の本体である御魂が宿ることで、様々な人生経験を通じて、御魂を昇華させていく場、という言い方をすることができます。
そして、このような言い方をすると、まさにそれはシミュレーション理論と同じ理屈になります。

魂は、究極的には神様になります。
その神様にも、さまざまなランクがあります。
そしてより上位の神様になるために、人は今生で苦労して生きるわけです。

このことは、たとえていうならば、「肉体はレンタカーのようなもの」という言い方になります。
これは矢作直樹先生から教えていただいた考え方ですが、なるほど言い得て妙だと思います。

生きていれば様々な苦労がありますが、後になって振り返ってみれば、ひとつひとつが自分の人生にとって意味のある出来事の積み重ねであったとわかります。
そして、大切なことは「何が正しいか」ではなくて、いかに「より良いものに成長するか」にあるというのが、古事記に描かれた世界観であるように思います。

その瞬間には悪と見えたことが、実は、自己を成長させる大きな手がかりであったということは、よくあることです。
そしてこの世が、プログラムされた世界であるなら、起こる出来事は、すべて意味があって起きているとわかります。
それを昔の人は「神々のおはからい」と言いました。

そして、魂の成長というものは、個人にもあるし、個人の総体としての国家にも起こることです。
国家において大切なことは、何が正しいかではなくて、国家としていかに成長するかにあるということができます。
逆にいえば、何が正しいかを言いつのっている間は、国家としての魂の次元が低いということです。
このことは、いわゆる慰安婦問題を正しい歴史認識とか言っている国の程度の低さをみればわかることです。

古事記に書かれた世界観は、深い洞察に基づくものであるように思います。
ですから今回古事記の本を出しましたけれど、それはあくまで古事記の文字上に描かれた物語のひとつの読み方にすぎません。
たとえばヤマタノオロチは、鳥上盆地であるというように解釈しましたし、古事記の著者は間違いなくそのような意図があったからこそ「オロチ」を「遠呂智」と書いたのであろうと思います。

けれど、神々の世界というのは、私達三次元プログラムに固定された者達には、測りかねるものでもあります。
つまり、もしかすると、神々の世では、本当に頭が八つある大蛇がいたのかもしれない。
それはわからないことです。

けれど、わからないことだから、わからないで済ませていたら、なんの勉強になりませんから、古事記に書かれた「遠呂智(おろち)」とは何を意味するのかを真剣に探っていかなければならない。
それは私達が、三次元の世界に住む住民だからです。

そしてそうすることで、古事記に描かれた日本人とは何か、日本とは何か、日本人における美意識とはどのようなものかといった答えを得ることができるのではないかと思います。

いずれにしても、現代の最先端科学がようやくたどり着いた理論を、実は1300年前の古事記が先取りしていたということ。
すごいことだと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。

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「お詫びと訂正」
第一巻八十三ページに「これは千葉の常若神社の渡邊宮司から教えていただいた話なのですが、聖徳太子の十七条憲法の各条文は、それぞれ創成の神々の神名と関連付けて書かれているからこそ、十七条なのです」とありますが、私が教わったことは古事記と聖徳太子に関するお話であり、聖徳太子の十七条憲法と神々の神名との関連付けは教えていただいたことではなく、私の考えであると、渡邊宮司をはじめ、関係各位に深くお詫びして訂正いたします。



関連記事

コメント
No title
難しい概念が、平易に解説され広く知られるようになるのは素晴らしい事と思います。

この世界が仮想現実であることを示す証明式
http://www.youtube.com/watch?v=nv7WQqJLru0

30_宇宙論に対する仏教思想からの回答2015
http://www.youtube.com/watch?v=xhy5UG8mgOI
2017/05/09(火) 03:07 | URL | とおりすがり #-[ 編集]
No title
こんにちは。ありがちな・・地球を忘れる西洋式卓上理論。
コンピュータの電源を切ったのが、新石器時代の姶良カルデラ、縄文時代の
鬼界カルデラの破局噴火でしょうか??いずれも西日本壊滅と。大量の火山
灰降下により食料確保も居住もできなくなったようです。人々は突然の死に
襲われ、あるいは”東”を目指す帰るあてのない移動を強いられた。
古代ローマ時代、ヴェスヴィオ火山爆発で一晩で壊滅したボンベイ。古代核
戦争説のモヘンジョ・ダロ・・などなど。
卓上の理論やはり理論。何にも知らないに等しい人間の考えた理屈に依って
いるわけで・・wあちこちで原理化しているキリスト教とかユダヤ教とか
イスラム教とか仏教のように人間臭い・・つまり最新の物理学の限界はそん
なところなんですかねw原理化してもねえ・・思考や考察にリミッターをか
けているようなものですね・・学問は安易じゃ~ない・・説明できていない
部分が必ずあるでしょうねえ。こういう囲い込みをしたがっている連が存在
するわけでしょうねw言葉に依ると言葉に惑わされますよ・・理論のための
理論をうみだすわけでw超古代文明が言葉をほとんど残さなかった理由かも
しれませんね。
人類は同じ様な歴史を飽きもせずに所と形を変えて繰り返しているのが事実。
なが~~い目で見て人類は学びませんし、修行?などしてる気配はなさそう・・

2017/05/08(月) 16:43 | URL | くすのきのこ #-[ 編集]
つまり、もしかすると、神々の世では、本当に頭が八つある大蛇がいたのかもしれない。

***
現代の科学がやっと、古事記のことや
賜し霊の存在、大いなる神からのインスピレーションの存在とか、いろいろにやっと追いついてきた時代になったようです。

神道や随神の道を解くのは専門家にお任せして、ねず先生は独自の能力である深い読み解きで、私たちに人の世で生きる道を、指し示して欲しいです。

素晴らしいブログを、ありがとうございました(^-^)
2017/05/08(月) 08:30 | URL | みやび #MMIYU.WA[ 編集]
No title
健康ブームの中でガンが増え続ける理由 : 世界でもダントツの「薬」消費国である日本は「薬に人間の自己治癒能力を奪われながら」滅ぼされつつあるのかもしれない
http://oka-jp.seesaa.net/article/417086942.html
2017/05/08(月) 07:44 | URL | junn #p4GOlP7Y[ 編集]
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小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず

Author:小名木善行(おなぎぜんこう) HN:ねず
静岡県出身。国史啓蒙家。倭塾塾長。日本の心をつたえる会代表。日本史検定講座講師&教務。
連絡先: nezu3344@gmail.com
著書
『ねずさんの昔も今もすごいぞ日本人』第1巻〜第3巻
『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』
日々、先人たちへの感謝の心でブログを書き綴っています。それが自分にできる唯一のお国への、先人たちへの、そしていま自分が生かさせていただいていることへのご恩返しと思うからです。こうしてねずブロを続けることで、自分自身、日々勉強させていただいています。ありがたいことです。

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